ベートーヴェンを尊敬していたわりには、その録音を残すことは少なかったようです。
そう考えると、指先というものが、あまりにもデリケートで、あまりにもすぐれた力を持つための禍い、といえるのではないでしょうか、その誤りから脱出するためには、ピアノを弾くことの根本を考え直し、メカニックとテクニックとを分けて考えず、練習が習慣に流されることなく、音のイメージによる〈頭で弾く〉奏法によって、正しい基礎を培ってあげなければなりません。
子供の無自覚時代につけてしまった弾き方の習慣が、その人の一生を支配するという、ことの重大性を思い、正しい頭の使い方の指導によって、正しい指先の使い方を会得させていかなくてはならないのです。